冬になるとコンビニエンスストアや居酒屋などで出汁の良い香りがふわっと漂ってきます。
その香りに誘われてついついフラフラっと立ち寄って日本酒やビールを片手につまんでしまう「おでん」は日本の冬には欠かせない煮込み料理です。
そんなおでんを自宅で手作りする際、おでんに使用する具材の下ごしらえをどのように行えば良いか悩みますよね。
そこで、今回は自宅で美味しいおでんを作るための具材の下ごしらえ方法をご紹介したいと思います。
おでんとは?
Oden (おでん) restaurant / Tagosaku
日本で古くから食べられている料理の1つ「おでん」は、およそ400年の歴史を持つ料理です。
当時のおでんは、夜回りの際に用いられる拍子木のかたちに切った豆腐へ竹串を打ち、こんがりと焼いたものでした。この豆腐料理を「豆腐田楽」と言い、当時は塩をまぶして召し上がっていたと言われています。
室町時代には調味技術が向上し、鎌倉時代に道元禅師によって中国から伝わった精進料理と日本の優れた包丁技術の融合によって日本料理が誕生します。
室町時代では、味噌などの調味料が続々と製造されるようになり、豆腐田楽の上に味噌を塗り、香ばしく焼いた味噌味の豆腐田楽が完成します。
戦乱の世が終焉を迎え、世の中に平穏が訪れた江戸時代になると、こんにゃくをあっさりとした昆布出汁で温めて甘味噌を付けた煮込み田楽が誕生します。その後、豆腐だけではなく、鹿肉や魚類、野菜などを串に刺して江戸に住まう人々の胃袋を満たしてゆきます。
江戸時代の終わりには、振り売りと呼ばれる商人によって、現在のおでんの基となるおでん鍋が登場します。振り売りは木箱に天秤棒を渡し、おでん鍋と熱燗鍋を乗せて「おでんかんざけ」という行燈や暖簾をかけて、街中を歩きまわっていました。
その後、振り売りから屋台へと移り変わり、江戸や大坂の人々から早くて美味い料理として人気となりました。
明治20年頃には東京都の本郷という地域にある「呑喜」という飲食店で従来の汁気の少ないおでんから汁気たっぷりのおでん「改良おでん」が誕生し、東京大震災が発生した大正12年には東西の料理人が出会ったことでおでんも飛躍的に進化します。
現在では日本各地で多種多様なおでんが誕生し、その地方ならではの食材を用いたオリジナルのおでんが食べられるようになりました。
おでんの語源は豆腐田楽の「田楽」に「お」を付けたもので、平安時代に食べられていた塩味の豆腐田楽が今や旨味たっぷりの出汁に様々な具材と共に煮込まれる料理へと進化し、現在では冬の風物詩の1つとなっています。
おでんの具材の下ごしらえをご紹介!
GR004095 / Zengame
おでんのルーツが分かったところで、おでんの具材の下ごしらえをご紹介したいと思います。
一般的なおでんの具材といえば「卵・蒟蒻・大根・厚揚げ・ジャガイモ・タコ・ちくわ・さつま揚げ・牛蒡天」ではないでしょうか。
では、それぞれの具材の下ごしらえ方法をご紹介します。
大根
①大根を3cmから4cmほどの厚さで輪切りにし、表皮を剥いてゆきます。
※このとき、大根の表皮は厚めに剥くのがオススメです。大根は表皮の近くに筋があり、柔らかく炊いたときに舌触りが悪くなるのを防ぐためです。
②煮崩れを防ぐために大根の過度を面取りします。
③下茹でする前に輪切りにした大根の片面に1cmほどの深さで十字の切り込みを入れます。
※切れ込みを入れると味が浸み込みやすくなります。
④大根をお米の研ぎ汁で下茹でします。
※お米の研ぎ汁には、大根独特の臭いや灰汁を和らげる効果があります。
⑤茹で汁が煮立ったら、大根が小躍りするくらいの火力で竹串がスッと通るまで茹でます。
※火力には十分にお気を付け下さい。
⑥竹串がスッと入るまで煮たら、鍋をそのままの状態で流しへ持って行き、蛇口の下へ鍋を置き、蛇口の水と鍋の煮汁が入れ替わるまでそのまま流しっぱなしにします。
⑦大根が冷めたらかたちが崩れないようにソッと取り出します。
卵
卵の下ごしらえは茹で卵を作る要領で構いません。
茹で卵を作ったら、丁寧に殻を剥いて保管します。
蒟蒻
蒟蒻は大根の下ごしらえと似ています。
①蒟蒻は食べやすいサイズにカットするまえに、両面に2mmから3mmほどの切り込みを細かく縦横に入れてゆきます。
※こうすることで味がしっかり浸み込むようになります。
②切込みを入れた蒟蒻の表面に大さじ1/2杯ほどの塩を振り、全体に刷り込むように蒟蒻独特の臭みと水分を取り除きます。
③水を沸かした鍋で塩揉みした蒟蒻を入れ、1分間下ゆでします。
ジャガイモ
ジャガイモは煮崩れを起こしにくいメークインを使用するのがオススメです。
ジャガイモの下ごしらえですが、茹でるもしくは蒸してジャガイモの芯が柔らかくしてから綺麗に表皮を向いておきます。
このときジャガイモの芽の取り忘れにご注意ください。
練り物系
厚揚げやちくわ、さつま揚げ、牛蒡天などの練り物や厚揚げは食べやすい大きさにカットします。
カットした具材はザルに並べ、上から軽く熱湯を回しかけておくと余計な油を落とすことが出来るのでヘルシーになります。
また、表面の油を落とすことによって練り物や厚揚げの独特な臭いが消え、味も浸み込みやすくなります。
また、ちくわは、味の浸み込みやすい焼きちくわを用意すると良いでしょう。
タコ
タコですが、生ダコと茹でタコはお好みで用意しましょう。
生ダコの場合、塩揉みした後に茹でて、食べやすい大きさにカットします。
茹でタコの場合、食べやすい大きさにカットした後、熱湯で1分間下茹でします。
※茹でタコを下茹でする理由は、タコの赤いエキスによって具材への色移りを予防するためです。
まとめ
おでんは関東と関西では出汁や具材がちょっぴり違います。
関東圏では、醤油と砂糖を用いた出汁にタコやちくわぶ、練り物系を多く使用した濃厚なおでんですが、関西圏では薄口醤油と塩を用いた出汁に卵や大根、牛スジ肉を使ったアッサリ風味のおでんとなります。
他にも八町味噌を使用した愛知県のおでんや真っ黒な出汁の静岡おでんなど各地で様々なおでんがあります。
毎年2月22日はおでんの日ですので、いつもとは違った様々なおでんを食べて寒い冬を乗り切ってみてはいかがでしょうか。
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