確かに塩分を摂り過ぎると、生活習慣病の発症リスクは高まりますが、人間は塩分が不足してしまうとナトリウム欠乏症を引き起こし、神経および筋肉に関する機能障害を引き起こし、代謝障害である脱力・しびれ・四肢の麻痺などが現れます。さらにひどくなると、異常な発汗・嘔吐・下痢・低血圧症・脱水症・血液が酸性となるアシドーシスを引き起こし、最悪の場合、死に至ることもあります。
過度な塩分摂取は、高血圧症や動脈硬化など人体に悪影響を与えるのも事実ですが、正しい減塩方法と食塩選びによって、食塩による健康被害を防ぐことができます。現在、日本国内で販売されている塩には、天然塩・再生加工塩・精製塩の3種類あり、それぞれ身体に与える効果や効能が異なります。
そこで、今回は天然塩・再生加工塩・精製塩の成分や違いについてご紹介します。
天然塩とは?
塩 / sor
天然塩には、完全天日塩・平釜塩・岩塩および湖塩の3種類に分けられており、製法によって呼び名が異なります。
完全天日塩は、その名のとおり海水を塩田や枝条流下式によって濃縮し、太陽と風の力のみで結晶化させた非加熱の自然海塩です。一方、平釜塩は、完全天日塩と同じく海水を塩田や枝条流下式にて濃縮した後、平釜を使って煮詰めて結晶化させた食塩です。
岩塩は、太古の時代海であった場所が地殻変動によって陸地となり、閉じ込められてしまった塩湖が自然の力によって水分のみが蒸発し、次第に塩が結晶化し、その上に土砂がうずたかくつまれたことで塩の層から採取される塩です。
岩塩には、岩塩層に水が注入されるなどによって濃度の高い飽和塩水が作られ、真空蒸発缶で結晶化した溶解法岩塩と岩塩層に直接ボーリングを行い、露天掘りを行って採掘される採掘法岩塩の2種類あります。
溶解法岩塩の場合、ミネラルを添加しているものとされていないものに分けられておりますので、購入する際は注意が必要です。湖塩とは、岩塩同様、地殻変動によって陸へと閉じ込められてしまった水が、自然と蒸発し、水の中の塩分銅度が高くなった湖のことです。濃度の濃い塩水を蒸発させると塩分が結晶化し、湖塩が作られます。
また、地域によっては乾季に湖の水が自然と干上がることで塩の結晶が現れる塩湖も存在するそうです。
再生加工塩とは?
塩 / sor
再生加工塩とは、天然塩同様、海水から採られる塩のことです。
主に自然海塩加工とイオン交換塩加工の2種類あり、輸入した原塩にニガリなどを加えてミネラルを添加し、成分調節を行ったものを自然海塩加工、イオン交換塩にニガリなどのミネラルを添加して成分調節を行ったものをイオン交換塩加工と呼びます。
再生塩の主な原材料は、輸入した高純度の原塩もしくはイオン交換膜法によって作られた塩であり、辛味が強いため海水で融解加熱した塩を用いて失われたミネラルを補い、食べやすいように調節されています。よく「自然塩」という名で販売されているため、天然塩と同じく“身体に良い塩“と勘違いされやすいのが問題視されています。
再生加工塩は、白色ではなく、ピンクやオレンジ色をしていることが多いそうですので、色の違いで見極めるのがオススメです。
精製塩とは?
精製塩とは、スーパーやデパートなどで普通に販売されているポピュラーな塩のことです。
イオン交換膜透析法によりナトリウムイオンとカリウムイオン抽出が行われ、濃縮し、真空蒸発缶にて煮詰めて作られています。ミネラルなどの添加は一切行われておりませんので、販売されている食塩の中で最も栄養価が低いとされています。
海水を濃くした塩水で完全天日塩をキレイに洗い、微量に含まれるミネラルを取り除いたのち、溶解されて真空蒸発缶という機械で結晶化されているため、ほぼ100%の塩化ナトリウムとなります。
精製塩の原材料は完全天日塩ですが、化学的製法の「精製」によって製造されているため、完全天日塩とは呼べず、ラベルには「塩化ナトリウム99%以上」と表示されています。
天然塩と精製塩の成分の違い
塩田 / monoprixgourmet_bis
精製塩の場合、塩化ナトリウム99%以上を占めているため、既に塩ではなく化学物質となります。
身体に良い塩は、塩素・ナトリウム・カルシウム・マグネシウム・マンガン・ニッケルなどのミネラル成分がラベル裏に表記されておりますので、食塩を購入する際は、必ずラベル裏を確認してから購入しましょう。
ただし、身体に良いように見せかけている「自然塩」と呼ばれる再生加工塩も販売されておりますので、原産国や製法を確認してから購入するのがオススメです。
身体に良い効果をもたらす食塩の場合、体力増強作用・抵抗力強化・胃液分泌の促進といった効果や効能を得ることが出来ますが、いくら健康に良いからと言っても過剰に摂取してしまっては意味がありません。
健康に気を遣う方は、自然塩などを用いて作られた梅干し・お漬物・醤油・味噌を積極的に摂取するように心掛け、その他の料理に使用する塩分を控えるなど工夫することがポイントです。
まとめ
今回は天然塩の種類や成分、精製塩との違いについてご説明させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
海塩や完全天日塩は、海水を汲み上げて作られる塩ですので、海水に含まれる微量のミネラルがたっぷり含まれています。そのため、人間の体液組成元素に最も近いと言われておりますので、これから食塩を購入される際は、原産国や製造方法などに注意して購入されてみてはいかがでしょうか。