私たちがスーパーやデパートの青果コーナーで見かける里芋たちは、主に子芋と孫芋ですが、品種によっては親芋のみを食べるものや親芋も子芋も食べられるものなど様々です。
里芋と言えば、親・子・孫・ひ孫と続いてゆくことから子孫繁栄の縁起物とされており、お正月料理にもよく用いられています。
里芋の旬は、9月から12月ごろですが、非常に優れた貯蔵性を有しているため、通年を通して市場に出回っています。
そんな里芋ですが、実はとっても下ごしらえが大変な野菜のひとつでもあり、素手で皮を剥くと手がかゆくなったり、独特なえぐみを持つことから上級者向けの食材となっています。
ですが、今が旬の里芋を使って、絶品里芋料理に挑戦しようという方もいらっしゃるかと思います。そこで、今回は料理初心者さんにオススメの里芋をおいしく食べるための下ごしらえと処理方法をご紹介します。
里芋の下ごしらえと処理方法とは?
芋頭煮 / Richard, enjoy my life!
里芋を調理する際、なぜ下ごしらえや処理が重要になるかと言いますと、里芋の「ぬめり」を落とすためです。
里芋独特のぬめりの正体は、ムチン・マンナン・ガラクタンなどといった成分であり、それぞれ身体を健やかに保つための栄養素ではあるのですが、この粘液質を落とさずに調理を行ってしまうと、熱伝導率が妨げられ、味の浸透が落ち、煮汁に濁りや粘りが出てしまうため、あまり良いものではありません。
また、ムチンやガラクタンなどは渋みやえぐみの成分でもありますので、これらの成分をしっかりと取り除くため、里芋の下ごしらえや処理は入念に行う必要があるのです。
ですが、里芋の下ごしらえには様々な方法があり、ご家庭によって異なるかと思います。そこで、今回は最もポピュラーな里芋の下ごしらえと処理方法をご紹介したいと思います。
里芋の下処理方法 その1
では、基本中の基本と言われる里芋の下処理方法をご説明します。この下処理方法は、主にお味噌汁や煮っ転がしなどを作る際に用いられる方法になります。
①里芋の皮を剥き、水気を切ったらボウルへ入れます。
②①に塩をふります。
※里芋200gに対し、食塩大さじ1杯ほど。③塩を揉み込むように手早く里芋を揉みます。
④ざるに移し、流水で里芋同士をこすりあわせ、塩とぬめりを洗い流してゆきます。
里芋の下処理方法 その2
炊き出しなどを作る際に、煮汁を濁らせたくないという方にオススメの下処理方法はこちらをご参照ください。
①【里芋の下処理方法 その1】を手順通りに進めてゆきます。
②鍋に①と水を入れ、強火にかけます。
③沸騰したら火を弱め、2分から3分ほど茹でます。
④金ざるにあけ、里芋のぬめりを流水でしっかり洗い落します。
※筑前煮など複数の野菜を下茹でしなければならない場合は、1つ1つ茹でていては時間がかかってしまうので、里芋とまとめて下茹でしてしまいましょう。
里芋の下処理方法 その3
お米のとぎ汁を活用した里芋の下処理方法をご紹介します。
①里芋の表面に付着している泥や土をキレイに洗い落します。
②里芋の皮を剥いてゆきます。
※里芋はとっても滑りやすいので、手を怪我しないように細心の注意を払って皮を剥いてゆきましょう。③皮を剥いた里芋に汚れが付着しているかと思いますので、水の中で洗い流します。
④鍋にお米のとぎ汁を注ぎ入れ、里芋を加えます。
⑤④を火にかけ、ひと煮立ちさせ、灰汁を取りながら吹き零れないよう、弱火よりの中火で柔らかくなるまで茹で続けます。
※強火で茹で続けてしまうと、煮崩れの原因になりますので、煮立ったとぎ汁がぼこぼこと沸いている状態をキープできる火力で茹で続けるようにするのがポイントです。⑥細い竹串を用意し、1つ里芋をすくいあげて竹串がスッと入る程度まで柔らかくなったのを確認したら火を止めます。
⑦お米のとぎ汁の臭いを取り除くため、里芋たちを再度熱湯で茹でたら下ごしらえの完了です。
お米のとぎ汁が無いという場合は、とぎ汁を鍋に注ぎ入れる行程の場面で、生米もしくは米ぬかを入れてください。
下茹でのコツは「沸騰したお湯に里芋を入れること」です。お芋を茹でてから水に入れると、柔らかくなったデンプン質が元の状態に戻ってしまうため固くなります。茹でたあとは、熱湯を用いてお米のとぎ汁の臭いを取り除くようにしてください。
ちなみに、お芋が崩れないように水分をしっかり飛ばしてから、煮るようにすると、味がよく浸み込み、おいしい里芋料理を作ることができますので、合わせて覚えておきましょう。
里芋の切り方
P1090111 / kaoruokumura
里芋の下ごしらえをする際、包丁を用いて里芋の表皮を取り除く必要があります。ですが、里芋の皮むきは、手が痒くなったり、ぬるぬる滑って意外と難しいですよね。
では、里芋の皮むきをスムーズに行う方法をご紹介します。
里芋の切り方には、六方むき・四つ割り・輪切りなど様々な方法がありますが、六方むきはお正月料理や煮物、四つ割りは煮っ転がしや筑前煮、煮物など、輪切りはグラタンやオーブン料理などでよく用いられていますので、調理法によって切り方を変えるのがポイントです。
では、里芋の切り方に関する手順をご説明します。
里芋の切り方 事前準備
①里芋の皮むきを始める前に、表面に付着している泥や土をキレイに洗い落してください。
②里芋の頭とお尻部分を少し切り落とし、その部分を指で挟み込んだら、少し厚めに剥いてゆきます。
『手が痒くなったときの対処法』
里芋を素手で触ると手が痒くなるという方もいらっしゃるかと思います。手の痒みを押さえるためには、里芋を事前に食塩水もしくは酢水に浸けて置くのがオススメです。
水を張ったボウルに食塩もしくはお酢を加え、皮を剥く前の里芋を入れます。その際、同時に手も軽く食塩水 (酢水)に浸けるのがポイントです。こうすることで、里芋に含まれるシュウ酸カルシウムが分解され、手の痒みを緩和させることができます。
六方むき
①里芋の表面に付着した泥を落とします。
②里芋の上下を平行になるよう、厚めに切り落とし、上の部分が六角形になるよう、円の周辺に切込みを入れておきます。
③左手で②の上下を持ち、切込みを入れた部分に包丁の刃を当て、皮の幅が変わらないように下へ向けて剥いてゆきます。
四つ割り
①里芋をキレイに洗い、皮を剥きます。
②まな板の上に横にして置き、半分にカットします。
③②の切り口を下へ向け、さらに半分にカットします。
輪切り
①里芋の表面をキレイに洗い、皮を剥きます。
②まな板の上に横にして置き、里芋の端からお好み幅でスライスしてゆきます。
まとめ
今回は里芋の下ごしらえや下処理方法をご説明させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
里芋は、熱帯アジアで古くから食されている食べ物です。日本でも縄文時代の頃から食べられていたと言われており、実はお米よりも長い付き合いとなっています。
里で栽培されていたことから「里芋」と呼ばれるようになり、今ではお正月の縁起物としてたいへん重宝されています。是非、今年のお正月は手作りの里芋料理で新たな年をお迎えしてみてはいかがでしょうか。