「けんちん汁」と「豚汁」の違いとは?具材や作り方にも違いがあるって本当!?

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「けんちん汁」と「豚汁」の違いとは?具材や作り方にも違いがあるって本当!?

肌寒い季節になると急に食べたくなる「けんちん汁」と「豚汁」ですが、皆さんはこの2つの汁物の違いを言い当てることは出来ますか。「けんちん汁は郷土料理、豚汁は家庭料理」や「けんちん汁に豚肉を入れたものが豚汁」など曖昧な判断方法となっており、詳しい違いを説明できる方は、ほとんどいらっしゃいません。

そこで、今回は「けんちん汁」と「豚汁」の違いについてご説明したいと思います。

けんちん汁と豚汁の違い「歴史」



けんちん汁 #dinner / is_kyoto_jp

けんちん汁と豚汁では、歩んできた歴史が異なります。それでは、それぞれの歴史についてご説明しましょう。

けんちん汁


神奈川県鎌倉市発祥の郷土料理「けんちん汁」は、岩手県・栃木県・埼玉県などでも郷土料理として食べられており、それぞれの地域の特産品を活かしたポカポカ汁物料理として県民に愛されています。

けんちん汁は、建長寺の開山で知られる南宋からやってきた高僧・蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)が、弟子が誤って落としてしまった豆腐を無駄にしないようにと、ぐちゃぐちゃになってしまった豆腐と共に野菜を煮込んで作ったのが始まりだとされています。

けんちん汁の名前の由来には諸説ありますが、最も有力な説が“建長寺で作られた汁物“が転じて”けんちん汁“となったというものです。

ちなみに、山口県には、大根と豆腐を用いた「けんちょう」という煮物があるのですが、けんちょうの汁気が多いものは「けんちょう汁」と呼ばれており、稀に“けんちょう汁”と“けんちん汁”がごっちゃになってしまうことがあるそうなので、お間違えの無いようにご注意ください。

豚汁


お味噌汁と並び、日本を代表するスープ料理として知られる「豚汁」は、明治時代以降に考案されたと言われていますが、詳しい発祥地などは不明となっています。

現在、豚汁の発祥説として挙げられているのが、

・けんちん汁にお肉を加えた説

・飛鳥時代に発布された「肉食禁止令」により誕生した牡丹鍋を参考に考案された説

・旧日本海軍がカレー粉の代わりに味噌を加えて作ったのが始まり説

・北海道の開拓を行っていた屯田兵たちが食べていた「屯田兵汁」が転じて「豚汁」になった説

・山形県庄内地方発祥の芋煮を起源とする説


など、諸説あり、現在最も有力視されているのが牡丹鍋を参考に考案された説です。ですが、“豚汁”を「とんじる」と呼ぶ方もいれば「ぶたじる」と呼ぶ方もおり、他にも「めった汁」や「スキー汁」など地域によって呼び名が異なるため、旅行先で豚汁を召し上がる際は、ご注意ください。


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けんちん汁と豚汁の違い「具材」



豚汁 / yoppy

「けんちん汁」と「豚汁」に使用されている具材ですが、実はさほど使われている具材に違いは無いのです。では、それぞれに使用されている定番の具材をご紹介しましょう。

けんちん汁の定番具材


大根・ニンジン・里芋・こんにゃく・豆腐・牛蒡など

豚汁の定番具材


豚ばら肉・牛蒡・大根・ニンジン・長ネギ・白菜・キャベツ・里芋・じゃがいも・さつまいも・こんにゃく・豆腐・油揚げ・しいたけ・しめじなど

※双方、地方によって使用する食材や調味料などが若干異なります。

けんちん汁と豚汁の決定的な違いは「肉の有無」になります。けんちん汁は、高僧・蘭渓道隆によって考案された精進料理ですので、お肉は使用されておりません。そのため、使用されている出汁も鰹節や煮干しなどの動物性のものではなく、昆布や干し椎茸といった植物性のもの用いており、素朴で優しい味わいとなっています。

また、けんちん汁には里芋、豚汁にはじゃがいもを使うなど区別されている方も多いそうです。

けんちん汁と豚汁の違い「作り方」



豚汁 / dreamcat115

お肉の有無や出汁の違いなど細やかな点が異なる「けんちん汁」と「豚汁」ですが、作り方に違いはあるのでしょうか。ここで、けんちん汁と豚汁の大まかな作り方をご紹介したいと思います。

けんちん汁の作り方


①具材となる根野菜やこんにゃく、豆腐などを食べやすいサイズにカットします。

②鍋にごま油を熱し、大根・ニンジン・里芋・こんにゃく・豆腐・牛蒡の順に加えてゆき、豆腐にごま油が馴染んだら、出汁を加え、ひと煮立ちさせます。

③煮立ったら、火を弱め、あくを取りながらコトコトと煮込みます。

④具材が柔らかくなったのを確認したら、塩・醤油・日本酒で味を整えます。

⑤椀に盛り、季節の吸い口を添えたら完成です。

豚汁の作り方


①豚ばら肉や根野菜などの具材を食べやすいサイズにカットします。

②鍋に水と野菜を入れ、火に掛けたら沸騰させます。

③沸騰したら味噌を半分溶き入れ、豚ばら肉・こんにゃく・出汁を加えます。

④5分ほど煮込んだら、残りの味噌を溶き入れて味を調えます。

⑤椀に持ったら完成です。

勘の良い方は、既にお気付きかもしれませんが、けんちん汁は、具材を1度ごま油で炒めているのに対し、豚汁は油を使用せず、他の具材と共に煮込んでいます。さらに、けんちん汁は醤油で味付けを行うのに対し、豚汁は味噌で味付けを行っています。

ただ、最近ではけんちん汁に味噌を用いたり、豚肉を加える方もいらっしゃいますので、けんちん汁と豚汁の違いが不明瞭になりつつあります。

まとめ


今回はけんちん汁と豚汁の違いについてご紹介させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。豚汁からけんちん汁を作りたいという場合、豚ばら肉と野菜を煮込む前に、ごま油を敷いたフライパンで軽く炒め、香り付けを行うと良いでしょう。

これから寒い冬がやってきます。身体をポカポカ温めてくれるけんちん汁と豚汁を食べて、寒さに負けない身体作りを行ってゆきましょう。


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  • 2016 10.25
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