秋の味覚である「梨」には和梨と呼ばれる日本梨・洋梨と呼ばれるラ・フランス・中国梨の3つの品種が有名ですが、日本で出回っている梨のほとんどが日本梨という品種になります。
日本梨には豊水や幸水、新興など果皮が褐色の「赤梨」と二十世紀や二十一世紀といった果皮が黄緑色の「青梨」の2種類存在します。
日本では古くから食べられているフルーツの1つです。
梨の歴史
Nashi 梨 / thedailyenglishshow
弥生時代後期の遺跡として有名な登呂遺跡などから梨の種子が発見されており、弥生時代には既に食用として食べられていたのではないかと考察されています。
また、奈良時代に記された日本最古の勅撰正史である「日本書紀」の中に693年の詔(天皇の命令)で持統天皇が栽培を人々に勧めていたことが明らかにされています。
江戸時代には梨の栽培技術が向上し、100種を超える品種の梨が誕生し、各地で栽培されるようになりました。ですが、当時の梨は現在のようにジューシーで甘みのあるものではなく、酸味が強く、シャキシャキした歯ごたえを持つものだったそうです。
梨は日本の歴史と深く関わっており、今も昔も変わらず多くの日本人から愛されています。
そんな変わらず愛されている梨を皆さんはどのように召し上がりますか?
瑞々しい果肉だけを召し上がる方もいれば、果皮ごとパクリと食べちゃう方など様々かと思いますが、梨の果皮は食べてしまっても身体に害は無いのでしょうか?
梨は皮ごと食べるのが正しいの?それとも果肉だけ食べるのが正しいの?
梨の食べ方は人それぞれですが、正しい食べ方は「皮ごと」になります。
梨の主成分は90%が水分で構成されています。残りの10%にショ糖や果糖、リンゴ酸や酒石酸などが含有されています。
また、食物繊維やクエン酸をはじめ、鉄分にカリウム、アスパラギン酸、そして消化酵素なども少なからず含まれています。
ほぼ水分で構成されている梨は100gあたりのカロリーが43Kcalと低く、リンゴやみかんと比べてもカロリーが低いので、ダイエット中の方のおやつに最適です。
なぜ、梨を皮ごと食べた方が良いのかと言いますと、梨の果皮にはアスパラギン酸という代謝促進作用及び利尿効果を持つ成分がたっぷり含有されています。
このアスパラギン酸には疲労回復をはじめ、解熱作用・二日酔い解消・むくみなどを改善させる効能があります。ですが、「梨の果皮には農薬などが付着しているのでは?」と不安に思う方もいらっしゃるかと思います。
梨を果皮付きのまま召し上がる際は柔らかいスポンジなどを用いて綺麗に洗浄しておくと良いでしょう。
梨に含有されている栄養成分と効果・効能について
梨 / oinonio
では、梨にはどういった栄養成分が含有されており、どのような効果や効能が得られるのでしょうか?
先程もご説明しましたが、梨の主成分は90%以上が水分から成っています。そのため、夏に多発する脱水症状や熱中症といった症状を未然に防ぐことが可能です。
梨に含有されているカリウムには、体内の老廃物や余分な水分を体外に排出するだけではなく、心臓及び筋肉の機能を正常に保つ効果があり、さらに過剰に摂り過ぎてしまった塩分を体外へ排出し、体内の塩分濃度を調節する働きがあります。
食物繊維には腸の働きを正常に保つ作用があるので、お通じの改善や大腸ガンの予防に効果的です。
梨で忘れてはいけない成分といえば「ソルビトール」や「プロテアーゼ」です。
特にソルビトールという成分は全てのフルーツの中でも梨に最も多く含有されている栄養成分であり、腸の蠕動運動を促進させ、便を柔らかくさせる作用があります。
もう1つのプロテアーゼという成分はタンパク質を分解する酵素の1つです。その働きは、肉類や魚類のタンパク質を柔らかくし、体内での消化や吸収を促す役割を担っています。
梨は品種によって旬の時期が異なり、二十世紀梨は8月の下旬から9月の下旬に旬を迎え、新雪梨は12月から3月頃に旬を迎えます。そのため、4月から8月中旬以外はスーパーやデパートなどで購入することが出来ます。
しかし、優れた栄養素を有する梨ですが、火照った身体を冷ます作用があるため、瑞々しい梨を冷え性の方や胃腸の弱い方が摂取してしまうとお腹を壊す可能性があります。
ですので、梨を煮たり焼いたりなどして熱を加えてから召し上がると身体を冷やすことなく美味しく召し上がることが出来ますので、冷え性や胃腸の弱い方は是非1度お試しください。
まとめ
梨は果皮部分がぬめぬめしている場合がありますが、これは梨の果皮に含まれている成分が外側へ出てきているためです。
ですので、塩を表面にまぶし、軽くこするとぬめりが取れますので、後はしっかりと流水で洗い流し、水気を切って召し上がると気になりません。
ヨーグルトとの相性も抜群ですので、是非今年の夏は梨を食べて残暑を乗り切りませんか?