・デパートで購入したイカの刺身に米粒のようなものがたくさん付いていた
など、イカのお刺身に見慣れないものが付いていたとき、食べても良いのかどうか気になりますよね。
実は、イカのカラダには寄生虫が棲みついていることが多く、鮮度が高ければ高いほど、寄生虫の出現率がアップするため、新鮮なイカを食べるときは、要注意です。
気を付けたいイカの寄生虫とは?
イカのカラダに棲みついている主な寄生虫は、「アニサキス」と「ニベニリア」です。
アニサキス
アニサキスとは、サバ、サンマ、アジ、サケ、カツオ、イカなどの海産魚介類に棲みつく厄介な寄生虫です。日本では、1960年代からアニサキスによる寄生虫症が確認されていますが、日本人の食習慣を考えると、もっと古い時代から存在する寄生虫症である可能性が高いとされています。
アニサキスは、線虫の1種であり、その幼虫は体長2cm~3cm、幅0.5mm~1mmほとであり、少し太い白色の糸のようなかたちをしています。アニサキスの幼虫は、サバやサケ、イカなどの魚介類の内臓に寄生しており、鮮度が落ちてくると内臓から筋肉へと移動します。
アニサキスに寄生されているイカを食べてしまうと、胃アニサキス症、腸アニサキス症、消化管外アニサキス症、アニサキスアレルギーなどを発症します。
アニサキスによるこれらの症状は、生食後数時間から数十時間で現れると言われていますが、なかには生食後に蕁麻疹や血圧降下、呼吸不全などの症状が現れることもあります。
ニベニリア
ニベニリアとは、タラやスルメイカに棲みつく条虫類の寄生虫です。人間に寄生することはありませんが、生タラコやスルメイカに寄生しているところを見つかると、苦情の原因となります。
楕円形のようなかたちをしており、体表は乳白色、体長5mmほどのサイズであることから、テンタクラリアに間違われることもあります。ニベニリアの特徴は、頭部に少し長めの4本の吻があります。ただ、この吻は、筒状で出し入れが可能な固着器官のため、普段は収納されています。
寄生場所は、タラやスルメイカの筋肉や体腔であり、大半の方は気付かずに食べていることが多いようです。
ただ、アニサキスとは違い、ニベニリアは人間に感染することがありませんので、食べても問題ありませんが、ごくまれに4本の吻で口腔内にへばりついてしまうことがありますので、新鮮で活きの良いスルメイカを生で食べるときは、注意が必要です。
イカのお刺身による食中毒を防ぐためには?
新鮮で活きの良いイカのお刺身は、旨味と甘味をたっぷり含んでおり、独特な食感を楽しむことができます。しかし、鮮度が高ければ高いほど、体内に寄生虫が入り込んでしまう可能性が高くなります。
人間に感染しないニベニリアは、イカの肝臓や筋肉の表面に固着器官を使ってへばりついていますので、イカを生で食べるときには、隅々までしっかりと目視で探し、手でつまみ出してください。
気持ちが悪くて触りたくないという方は、毛抜きやピンセットなどでつまみ取るのがオススメです。まれにイカのくちや足にも付いていることがありますので、注意しましょう。
人間に感染する厄介なアニサキスは、新鮮で活きの良いイカならば、まだ内蔵から筋肉へと移動していないと思いますので、なるべき早めに内臓を取り出してください。
鮮度が下がってくると、アニサキスは内蔵から筋肉へと移動を開始します。その場合、イカの隅々まで丁寧に目視をし、アニサキスの姿を探し出し、見つけたら包丁で取り除いてください。
アニサキスとニベニリアの弱点とは?
アニサキスの弱点は、
・-20℃の環境で24時間以上冷凍する
・中心温度60℃で1分以上加熱する
ニベニリアの弱点は、
・-20℃の環境で24時間以上冷凍する
どちらの寄生虫も、お酢や醤油、塩、ワサビなどで死滅させることはできません。そのため、新鮮で活きの良いイカを使って、自家製の沖漬けや塩辛などを作るときは、食べる24時間以上前に-20℃の環境で冷凍し、アニサキスとニベニリアを死滅させる必要があります。
ただし、アニサキスにアレルギーを持っている方は、たとえ死滅させたとしても、アレルギー症状が出てしまうため、注意しましょう。
まとめ
鮮度の高いイカをお刺身で食べるとき、細長い糸のようなものや米粒のようなものが付いていたら、寄生虫に感染している可能性がありますので、そのまま食べるのは危険です。
鮮度も大切ですが、せっかく作ったイカ料理が原因で、家族や恋人、お友だちが食中毒になってしまっては、楽しい食事も台無しになってしまいます。安心・安全なイカ料理を作るためにも、食中毒の原因となる寄生虫対策を万全に行っておきましょう。