いくらの魅力は、プチプチとした食感と濃厚な味わいが楽しめるところですが、とくに11月に獲れるいくらは、卵の皮が厚く、くちのなかに残ってしまうこともありますが、“プチプチッ”と弾けるような食感と、くちのなかいっぱいに広がる濃厚な味わいがクセになると、たいへん人気があります。
なかでも、いくら本来の食感や味わいを心ゆくまで堪能することができる「いくらの塩漬け」は、塩漬けされたことで、いくらから水分が抜けるため、筋子の状態よりも粒が小さくなってしまいますが、塩抜きをしてから醤油漬けにすると、再び膨らみ始め、凝縮された旨味と甘味を楽しむことができます。
ですが、いくらの塩漬けを塩抜きせずに醤油漬けにしてしまうと、塩辛くなってしまい、とても食べられたものではありませんので、必ず塩抜きしてから醤油漬けにしなければなりません。
では、いくらの塩漬けを醤油漬けにするために必要な「塩抜き」の手順をご紹介します。
いくらの塩漬けをおいしく食べるために必要な塩抜き方法
[必要なもの]
・いくらの塩漬け
・大きいサイズのボウル
・食塩水 (水1リットルに対し、天然塩を小さじ2杯(10gほど)加えたもの)
・天然塩[塩抜きの手順]
①食塩水を張ったボウルを用意します。②いくらの塩漬け(300g~500gほど)を①に入れます。
③8時間おきに食塩水を新しいものに入れ替えます。
※③の工程を3回ほど繰り返してください。④いくらの塩漬けを、24時間かけてゆっくりと塩抜きした後、いくらがつぶれないように注意しながら、流水で洗い流してください。
塩抜き時の注意点
真水や流水で塩抜きをしない
いくらの塩漬けを塩抜きするとき、真水や流水で済ませてしまう方もたくさんいますが、塩漬けされた塩分濃度が高くなっているいくらを真水や流水に当ててしまうと、いくらの表面の塩分を急激に抜くことはできますが、中心部分の塩分は抜けきらずに残ってしまいます。
そのため、真水や流水で塩抜きしたいくらの塩漬けは、水っぽくてボソボソした食感と塩辛い味のいくらになってしまい、おいしくありません。ところが、食塩水を使って塩抜きをすると、これが“呼び水”となり、いくらの細胞を破壊することなく、ゆっくりと均等にいくらから塩分を抜き取ることができるため、おいしく仕上げることができます。
食塩水の塩分濃度に注意
いくらの塩漬けを食塩水に漬け込んで塩抜きを行う場合、いくらの塩漬けと食塩水の塩分濃度の差を小さくすることがポイントです。いくらの塩漬けの塩分濃度は、平均2%~4%ですので、塩抜きに使用する食塩水の塩分濃度は、1%~2%が理想となります。
塩抜き時間を長くしない
いくらの塩漬けを塩抜きする場合、塩分を抜き過ぎないように注意してください。長時間いくらを食塩水に漬け込んでしまうと、塩分と一緒に旨味も外に抜け出してしまいます。
失敗しないためには、まず塩抜きする前に味見をし、塩辛いと感じたら塩抜きを行いましょう。好みの塩加減になるように、途中何度か味見をするのも忘れてはいけません。
まとめ
いくらの塩漬けは、醤油漬けとは違い、いくら本来の旨味や甘み、食感を楽しむことができるため、いまでは醤油漬けよりも人気があります。
『いくらの醤油漬けは食べたことあるけど、塩漬けは食べたことない』という方は、是非この機会にいくらの塩漬けを食べてみてはいかがでしょうか。