カレーライスやお酒のおつまみとしてよく食卓に並ぶらっきょうですが、その独特な風味や香りで苦手な方も多いと思います。
らっきょうは元々中国原産の植物で、古来より薬効として用いられており、畑の薬という異名を持っています。
らっきょうが初めて日本に伝わったのは9世紀頃です。日本最古の本草書として有名な「本草和名」や漢和字書の「新撰字鏡」内に「薤」として登場しています。
また、平安初期の禁中の年中儀式や制度が記された「延喜式」にも「薤白」という名称で登場しており、らっきょうが昔から愛されていたことがうかがえます。
薬として用いられるほど、らっきょうには非常に優れた栄養成分が含まれており、様々な効果や効能があります。
では、いったいどのような効果・効能が得られるのでしょうか?
らっきょうの持つ優れた栄養成分について
らっきょう / wasabinouta
らっきょうに含まれている栄養成分は他の野菜と比べてビタミンやミネラルがほんの少し含まれているだけで、栄養学的な価値があるかどうかと言われると全くありません。
しかし、らっきょうが放つあの独特の香りの中に優れた効果・効能が隠されています。らっきょうの秘められた栄養成分とは「硫化アリル」です。
この成分がらっきょうを畑の薬として有名にしています。硫化アリルには糖質の代謝に深く関わっているビタミンB1の吸収を促進します。
さらに血液の流れを正常に保つことによって、血液の循環をスムーズにし、心臓やリンパ管などといった循環器系の機能を正常に保つ作用があります。
また、咀嚼によってらっきょうの細胞が破壊されるとアリシンという成分が誕生します。アリシンにはビタミンB1を生き生きとさせる働きがあり、体内に侵入してきた病原体に対抗するための殺菌効果を向上させます。
では、硫化アリルなどを含んでいるらっきょうにはどんな効果や効能があるのでしょうか?
らっきょうの優れた効果・効能について
らっきょう独特の香りは「硫化アリル」という成分によるものです。
この硫化アリルには、体内で異常発生してしまった活性酸素を取り除く抗酸化作用があります。そのため、動脈硬化を予防し、生活習慣病やガンを抑制させるといった効能があります。
また、活性酸素によって老化が急激に進むことも防ぐことができ、硫化アリルには身体を心から温める保温効果があり、発汗・殺菌といった効果も同時に得ることが可能です。
らっきょうには糖質の代謝に深く関わる酵素の補酵素であるビタミンB1の吸収を促進させる働きがあるため、疲れにくい体作りを行うことが出来ます。
硫化アリルの他にらっきょうにはフルクタンという食物繊維が含まれています。このフルクタンという成分は腸内に棲み付いているビフィズス菌の栄養補給剤となります。
そのため、腸内環境おを整え、花粉症やハウスダストなどといったアレルギー諸症状の改善や緩和に効果を発揮します。そして、このフルクタンという食物繊維は水溶性ですので、お通じの改善にも効果を発揮します。
この他にも、らっきょうには食欲増進や中性脂肪を降下させる作用や不眠改善、女性にとって嬉しい生理痛の緩和や冷え性などにも絶大な効果を発揮します。
優れた栄養素を持つらっきょうは食べ過ぎたらどうなるの?
甘酢漬けらっきょう / ayustety
らっきょうには生活習慣病やガン、便秘やアレルギーの緩和など様々な効果や効能があるので、その効果を得ようとたくさん食べてしまいがちですが、どのような食材でも摂取し過ぎれば健康を害してしまいます。
特にらっきょうの香り成分である「硫化アリル」は摂取し過ぎると刺激が強いため消化器官に負担がかかり、下痢や胃もたれといった症状を引き起こします。
らっきょうは1日に摂取して良い量が定められており、成人で1日に4粒が適量となっていますので、摂取する際は気を付けましょう。
らっきょうはよく酢漬けとして食べられていますが、これにもれっきとした理由があります。「硫化アリル」は熱に非常に弱いため、効率良く体内に摂取するには生のまま食べるか酢漬けにして食べるのが推奨されています。
らっきょうが畑の薬として呼ばれる所以はこういうことだったのです。しかし、いくら栄養があると言いましても、らっきょう独特の香りが苦手な方には抵抗があるかと思います。
もし、香りが気になる方はらっきょうをみじん切りにし、タルタルソースを作ってみてはいかがでしょうか。
マヨネーズや玉ねぎがらっきょうの香りを抑えてくれるので、香りを気にせず食べることが出来ると思います。
誰でも簡単に始められるお手軽健康法ですので、仕事帰りにらっきょうの酢漬けを購入して今日から初めてみませんか?