皆さん「暑気払い」という言葉をご存知ですか?
社会人の方ならば既にご存知かと思いますが、知らない方のために簡単にご説明させて頂きます。
暑気払いとは、暑さの厳しい夏場にひんやりとした冷たい食べ物や身体を冷やす効果を持つ食材、または身体を冷ます作用を有する漢方もしくは医薬品などを用いて体内に溜まった熱気を取り去ることを表します。
銷夏法とも呼ばれ、暑さを打ち払うために行われます。
現在ではキンキンに冷えたビールなどのアルコール飲料などが用いられていますが、江戸時代から明治時代の頃に行われていた暑気払いは、枇杷や桃の葉を煎じて作られる「枇杷葉」を用いて江戸や大坂の街中で販売されていました。
他にもみりんに焼酎を加えた本直しと呼ばれる甘いお酒なども飲用暑気払いに利用されてきました。
江戸時代の川柳の中に「枇杷と桃 葉ばかりながら 暑気払い」とが詠まれており、この川柳により、枇杷の葉に身体を冷やす効果があることが明らかにされました。
現在では暑気払いと称して日頃溜まったストレスを発散させるために宴会や飲み会を行う方々も増えていますが、本来の意味を理解すると奥が深いですね。
そこで、今回は古くから日本で行われている風習の1つである「暑気払い」を行うためにオススメの食べ物をいくつかご紹介したいと思います。
身体を冷ます作用を持つ食べ物とは?
暑気払いを行う際に忘れてはいけないことは「その食べ物に身体を冷ます効果・効能があるかどうか」です。
そこで、美味しくて健康や美容に効果のある食べ物をご紹介したいと思います。
麦を使った食品
Moldova_field / www.Michie.ru
6月から7月にかけて収穫される麦には身体を冷ます作用があります。
食欲の無くなる7月から8月にかけて良く食べられる素麺や冷麦は夏バテを予防するのに最適です。
また、ご存知無い方も多いとは思いますが、7月7日は麦の収穫を祝う日でもあり、その日に素麺を食べると夏の間は無病息災で過ごすことが出来ると言われています。
近年暑気払いとして用いられているビールの原材料も麦ですので、身体を冷やし、優れた利尿作用を持っているので、体内から老廃物や水分などを体外へ排出することが出来ます。
しかし、飲み過ぎると体を壊してしまうのでほどほどにしましょう。
キュウリやゴーヤ、スイカなどの瓜
キュウリやゴーヤ、スイカ、そしてカボチャに冬瓜などの瓜は夏に旬を迎える食材です。
特にキュウリやスイカには優れた利尿作用を持つカリウムがたっぷり含まれており、身体を冷ますと同時に体内に溜まった老廃物や水分などを体外へ排出させる働きがあります。
また、ゴーヤには抗酸化作用のビタミンCが含有されており、夏バテを予防するのに最適です。
冬瓜やカボチャは優れた保存性と栄養成分を含んでいるので弱った身体への栄養補給食品として効果を発揮します。
ひんやりと冷たい氷食品
フルーツあんみつ氷 / ume-y
アイスクリームも良いですが、日本の夏には欠かせない「かき氷」や「氷菓子」なども暑気払いに効果的です。
紫式部と同じく平安時代中期に活躍した女流作家の清少納言は夏になると大好きなかき氷を食べて暑気払いをしていてと言います。
昔は現在のように冷蔵庫がありませんでしたが、冬の間に切り出しておいた氷を氷室と呼ばれる貯蔵庫へ保管し、毎年6月1日の氷室の節供の際に氷を献上していたそうです。
そのため、かき氷は貴族の食べ物であり、庶民の手には届かない代物でした。そこで考案されたのが「水無月」という氷に見立てた和菓子です。
現在でもかき氷と共に水無月も暑気払いの食べ物として人気があります。
まとめ
他にも夏バテ防止に効果のある甘酒や清涼感のあるミントティー、発汗作用のある辛い食べ物なども体を冷ます食べ物として知られています。
また、夏に旬を迎える夏野菜も身体を冷やす作用があるので、暑気払いに効果的です。
暑気払いで飲み会や宴会を楽しむのも良いですが、身体を冷まし過ぎないよう、身体を温める食べ物と組み合わせてバランスの良い食事を摂取するように心掛けましょう。