いまでは、1年をとおして、スーパーやデパートの鮮魚コーナーで、あさりを買うことができるようになりましたが、水温の高くなる3月から5月の時期に獲れるあさりは、産卵に向けて、栄養分をたっぷり蓄えているため、他の季節と比べて、大粒なうえに、肉厚で、プリップリの食感を楽しむことができます。
そのため、春休みやゴールデンウィークを利用して、新鮮なあさりを求め、潮干狩りに出かける方もたくさんいます。
しかし、あさりは、とてもデリケートで傷みやすく、日持ちの悪い食材ですので、潮干狩りでたくさん獲ってきてしまうと、たいへんなことになってしまいます。
そこで、今回は少しでも長くあさりを日持ちさせるための保存方法をご紹介します。
高温に弱いあさり
near Akatsukichou / つんつん
あさりは、主に湾内の干潟や砂地などに生息している海洋生であり、敵から身を守るために暗い砂のなかで生活をしており、水管と呼ばれる器官を伸ばし、海水や砂と一緒に海中を漂っている植物プランクトンや浮遊有機物を吸い込み、濾しとって食べています。
あさりは、海水の温度が-2℃~32.5℃の地域に生息していますが、あさりの活動が活発になる海水温度は、20℃前後からとなっています。
そのため、水温32.4℃を越す環境にあさりを置いてしまうと、24時間以内に死んでしまい、反対に0℃以下の環境にあさりを置いておくと、くちを固く閉じて休眠状態になってしまいます。
あさりが旬を迎える3月から5月は、水温が徐々に上がり始めるころですので、あさりの活動が活発になるのですが、同時に気温も上昇してゆくため、あさりを常温で保存するのは控えた方が良いでしょう。
あさりを保存するなら「野菜室」がオススメ!
あさりうどんを滑り込みで食べれた。 / y_ogagaga
あさりは海水温が20℃前後になると、動きが活発になるのですが、産卵を控えたあさりは、海水温が18℃以上になってしまうと、見痩せしてしまい、味が落ちてしまいます。
これでは、活きの良い大粒のあさりたちの良さを活かした、絶品あさり料理を作ることができません。そこで、獲ってきたあさりの活動を抑えるため、冷蔵庫へ入れて休眠状態にしてしまいましょう。
現代の冷蔵庫には、1つの冷蔵庫に、冷凍室・冷蔵室・チルド室・野菜室など、さまざまな部屋が用意されており、スーパーやデパートで購入してきた食品に合わせて、保存場所を選択することができます。
冷蔵庫の冷蔵室は、JIS規格で「室温15℃~30℃において、冷蔵室内を0℃~10℃の範囲で調節できるようにすること」と定められています。また、部屋ごとに温度設定が異なりますので、あさりの保存をするときは、注意が必要です。
[部屋別]冷蔵庫の平均温度
・冷凍室:-18℃~‐20℃
・冷蔵室:3℃~6℃
・チルド室:0℃~2℃
・野菜室:7℃~10℃
あさりは、比較的低い温度でも生き続けることができる海洋生ですので、冷凍室でも保存することは可能です。
しかし、極端に低すぎる環境で保管するのは、あまりオススメできません。あさりは、海水温10℃~15℃ほどで休眠状態となり、活動を抑えることが可能です。
そこで、冷蔵室のなかで比較的湿度が高く、あさりが生息している環境にとても近い温度を保っている「野菜室」で保存するのが、あさりを長持ちさせる秘訣です。
ただし、野菜室がいくら海の環境に似ているからといっても、あさりは、とてもデリケートで傷みやすい食材ですので、必ず2、3日以内に使い切るようにしましょう。
まとめ
あさりは、高温の環境では生き続けることはできませんが、低温の環境ならば、ある程度生き続けることができます。その日のうちに食べ切ることができないほど、たくさんのあさりを潮干狩りで獲ってきてしまったときは、海の環境に近い野菜室へ入れて、大切に保管しましょう。
ただし、保存中は海水の循環が起こりませんので、あさりが酸欠にならないよう、こまめに海水を取り替えるようにしてください。また、冷蔵庫で保存しているあさりが水を“ピュッピュッ”と飛ばして、庫内を汚さないよう、ゆるく新聞紙をかけておくことをオススメします。